ひと夏のキセキ
「よっ!」
「見舞い来てやったぜ」
「元気してる?」
他愛もない話をして数時間は経っただろうか。
太陽が沈みかけの夕刻、病室は瞬く間に喧騒に包まれた。
色素の明るい茶髪の男性、ド派手な赤髪の男性、肩まである黒髪をハーフアップにした男性。
殺風景な病院と彼らの派手さは不協和音を唱えている。
話にも出ていた葵の友だちだろう。
ちょっと怖いな……。
ヤンキーにしか見えないもん…。
私とは無縁の“陽”の人たちの存在が、やけに大きく感じて圧迫感を感じている。
「おー、来てくれたんだ。悪いなわざわざ。あれ?遥輝(はるき)は?」
「今日は…ほら」
「あー、そっか。命日か。ならしょーがないな」
私には分からない会話をしながら、葵がチラリと私を見た。