ひと夏のキセキ
「迷惑じゃねぇって。でも、どうせ死ぬなんて二度と言ってほしくない。生きてるだけで価値があるんだから。その今を大切にしろよな」


生きてるだけで価値がある…。


今を大切に…。


遥輝の言葉が強く胸に響く。


「俺は、2回身内を亡くしてる。だからこそ、生きてることの尊さが分かる。お前が今ここに生きてるだけで俺は嬉しい」


遥輝…。


そんなふうに言ってくれる人なんていなかった。


遥輝が初めてだ。


「ありがとね、遥輝」


すごくすごく嬉しかった。


でも…。


“2回”って…?


妹さん以外にも死別した経験があるの…?


「私…やっぱり遥輝のことが知りたいよ。ダメかな?」
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