ひと夏のキセキ
何度睨まれてもいい覚悟でジッと目を見つめる。


お互い何も言わない時間が流れ、そしてついに遥輝が深々とため息をついた。


「お前、おっとりしてて可愛いクセに気は強いタイプか」


「えっ?べ、別にそんなことは…」


褒められてるのか怒られてるのかどっちなんだろう。


でも、この感じはいつもの遥輝だ。


私が好きで好きでたまらない、少し意地悪で余裕のある遥輝。


「人は見かけによらねぇな。俺が話すまで食い下がってくるつもりだろ」


「見かけによらないのは遥輝も同じでしょっ」


「どういう意味?」


「……怖そうな見た目なのにホントは優しいってこと」


私は気が強いだの何だの言われてるのに、遥輝のことを褒める形になってしまって悔しい。


目を逸らしてボソボソと伝えたら、遥輝は満足気にニコニコ笑っている。
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