ひと夏のキセキ
「あーあ、絢ちゃん可哀想ー。食べたかったよなぁ?」


真生がケラケラ笑いながら言うと、遥輝は眉間にシワを寄せて睨む。


「お前ウザい。どっか行け」


ホントに機嫌悪いじゃん…。


こんなに不機嫌な遥輝初めて見た。


「他の男が買ったものを食わせたくないんだろ?さっきだって、付き合ってないとは一言も言わなかったもんな。分かりやすい男だわ」


「え、そうなの?」


だとしたらすごく嬉しい。


付き合ってることにしてほしいなんて思ってないけど、否定しなかったってことに期待してしまう。


「……わざわざ否定することでもないし。悪い?」


ぶっきらぼうだけど、少し照れている様子で私を睨んでくる。


不器用な人なんだろうなって思うと、すごく愛おしくてたまらない。


もっと遥輝と一緒にいたい。


ずっと一緒にいたい。


その思いが加速する。
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