キミは海の底に沈む【完】
令和2年7月15日
────目を開けた。
ピ、ピ、ピ…という、電子音が聞こえた。
カーテンの光が零れるのを見る限り、夜ではないらしい。
ぱちぱち、という瞼の動きを繰り返し、布団から体を起こす。
オレンジ色のカーテン。
とある個室。
ここはどこだろう?
そう思って、ぼんやりとまだ眠気が冷めない中、部屋を見渡していた。
まだ電子音が鳴っているから、そのアラームを消すために、スマホへと手を伸ばす。
ここがどこだか分からないのに、どうしてスマホのアラームを消したのか自分でも分からなかった。
何故か操作できるスマホは、〝机の上のファイルを見る〟と、よく分からない文字の待受画面にされていた。
布団、──…ベットからおり、足を床につけ、部屋の中にある机の上を見れば、スマホにあった通り白のファイルが置かれていた。
ここは誰の部屋で、誰のスマホで、誰のファイルだろう?と、そのファイルを見た。
〝あなたの名前は澤田凪です
これは平成28年7月3日の私が書いたものです
あなたは10歳の頃、脳の病気になってしまい
今日あったことを明日に必ず忘れてしまいます
このファイルは日記のようなものです
読んでください
今日の私へ
今日の出来事、なんでもいいです
明日の私へ何か伝えてください
よろしくお願いします〟
1ページ目の初めには、そんな言葉が書かれていた。
ピ、ピ、ピ…という、電子音が聞こえた。
カーテンの光が零れるのを見る限り、夜ではないらしい。
ぱちぱち、という瞼の動きを繰り返し、布団から体を起こす。
オレンジ色のカーテン。
とある個室。
ここはどこだろう?
そう思って、ぼんやりとまだ眠気が冷めない中、部屋を見渡していた。
まだ電子音が鳴っているから、そのアラームを消すために、スマホへと手を伸ばす。
ここがどこだか分からないのに、どうしてスマホのアラームを消したのか自分でも分からなかった。
何故か操作できるスマホは、〝机の上のファイルを見る〟と、よく分からない文字の待受画面にされていた。
布団、──…ベットからおり、足を床につけ、部屋の中にある机の上を見れば、スマホにあった通り白のファイルが置かれていた。
ここは誰の部屋で、誰のスマホで、誰のファイルだろう?と、そのファイルを見た。
〝あなたの名前は澤田凪です
これは平成28年7月3日の私が書いたものです
あなたは10歳の頃、脳の病気になってしまい
今日あったことを明日に必ず忘れてしまいます
このファイルは日記のようなものです
読んでください
今日の私へ
今日の出来事、なんでもいいです
明日の私へ何か伝えてください
よろしくお願いします〟
1ページ目の初めには、そんな言葉が書かれていた。