キミは海の底に沈む【完】
令和2年7月18日
白いシーツ、緑色のカーテン。
やけに柔らかい色だと思った。
私は白いシーツのベットの上に座り、そのベットの傍では白衣を着た女の人が座っていた。
その白衣を着ている女の人は私を見て、何か観察をしているようで。
「どこか痛むところはあるかな?」
そう聞かれても痛むところは無かった。ただ頭がぼんやりとする。静かに顔を横にふれば、少し左側の頭が傷んだ。
それでも特に気にならず、顔に出ることはなくて。
「うん、じゃあ自分の名前は言える?」
名前…。
…名前、
…名前…?
頭がぼんやりとするせいか、自分の名前が思い浮かばない。
「いいえ…」
「歳は?」
「…分からないです…」
「ここがどこだか分かる?」
その質問に、部屋の中を見渡した。緑色のカーテン、白いシーツのベット。そしてベットの横には、変わった机の上にテレビが置かれてあった。
「どこかの部屋です…」
「いつここに来たか、どうやって来たかは?」
「…分かりません…」
「うん、じゃあ、今から言うことを覚えてね」
「……?」
「車、花、人。1回、言ってみて」
この人は、何を言ってるんだろう。
「くるま…、はな、ひと」
「じゃあ、ここに丸を書いて。このボールペンを青色を使ってね」
差し出された紙と、三色ボールペン。
言われた通りに三色ボールペンの青色をペン先を出して、紙に丸を書いた。
「ありがとう。じゃあ今日は何月何日かな?」
「……」
「分からない?」
「…はい」
「さっきの言葉3つ、言ってみて」
「車の、ですか?」
「そう」
「車と、花と人です」
「ありがとう。これで質問は終わります。──…何か私に聞きたいことはあるかな?」
そう言われても。
何を聞けばいいか分からない。
ここがどこか質問してきたのに、この人は答えを教えてくれないのだろうか?
「…とくにありません……」
やけに柔らかい色だと思った。
私は白いシーツのベットの上に座り、そのベットの傍では白衣を着た女の人が座っていた。
その白衣を着ている女の人は私を見て、何か観察をしているようで。
「どこか痛むところはあるかな?」
そう聞かれても痛むところは無かった。ただ頭がぼんやりとする。静かに顔を横にふれば、少し左側の頭が傷んだ。
それでも特に気にならず、顔に出ることはなくて。
「うん、じゃあ自分の名前は言える?」
名前…。
…名前、
…名前…?
頭がぼんやりとするせいか、自分の名前が思い浮かばない。
「いいえ…」
「歳は?」
「…分からないです…」
「ここがどこだか分かる?」
その質問に、部屋の中を見渡した。緑色のカーテン、白いシーツのベット。そしてベットの横には、変わった机の上にテレビが置かれてあった。
「どこかの部屋です…」
「いつここに来たか、どうやって来たかは?」
「…分かりません…」
「うん、じゃあ、今から言うことを覚えてね」
「……?」
「車、花、人。1回、言ってみて」
この人は、何を言ってるんだろう。
「くるま…、はな、ひと」
「じゃあ、ここに丸を書いて。このボールペンを青色を使ってね」
差し出された紙と、三色ボールペン。
言われた通りに三色ボールペンの青色をペン先を出して、紙に丸を書いた。
「ありがとう。じゃあ今日は何月何日かな?」
「……」
「分からない?」
「…はい」
「さっきの言葉3つ、言ってみて」
「車の、ですか?」
「そう」
「車と、花と人です」
「ありがとう。これで質問は終わります。──…何か私に聞きたいことはあるかな?」
そう言われても。
何を聞けばいいか分からない。
ここがどこか質問してきたのに、この人は答えを教えてくれないのだろうか?
「…とくにありません……」