キミは海の底に沈む【完】
──年──月──日
平成26年9月1日
クラスに転校生がきた
さわだなぎっていうらしい
明日になれば今日のこと忘れるんだって
タイヘンだから転校生が
学校に来た日は家までおくることになった
クラスの女子とちがって
さわだは大人しくてかわいかった
────────────
平成26年9月10日
なつきがおくるのを
めんどくさいって言いだした
あそぶ時間がへるかららしい
さわだはもう友達だろと言っても
なつきは納得しなかった
おれひとりでおくった
さわだは「ありがとう」って泣きそうだった
やっぱりめんどくさくは思わなかった
さわだはかわいいのに
────────────
平成26年9月16日
さいあく親に日記を読まれた
さわだのことばっか書いてるけど
好きなのかって聞かれた
かってに見るなよクソばばぁ
────────────
平成26年9月19日
さわだはかわいい
ほかの女子とちがって調子にのらない
もんく言ってこない
明日学校来るといいな
さわだのこと好きだな…
なつきがまた怒ってた
なつきじゃなくて
さわだを優先してることに
怒ってるみたいだった
────────────
平成26年9月24日
やばい好きかもしれない
ひとめぼれってやつなのかも
日記見返したら〝かわいい〟って書いてた
たぶん初めから好きだったから
なつきみたいにイヤにならないんだろうな
────────────
平成26年9月25日
ガマンできなくて告白した
────────────
平成26年9月26日
さわだの家に行った
さわだはおれが言ったこと
覚えてなかった
なんでだよ
忘れないって約束したじゃん
怒ったらさわだが泣いた
おれの方が泣きたい
うそつき