激情を抑えない俺様御曹司に、最愛を注がれ身ごもりました


「なんだ、そんなことなら気にしなくていい」

「え……?」

「婚約者から金なんか取らない。これから妻になる相手なんだから、当たり前だろう」


 それは、私が代理婚約者だから言ってくれていることだとは理解できる。

 でも、私はあくまで代理。

 その約束さえなければ他人にすぎないのに。

 どうしてそこまでしてくれる意味がわからない。

 でも、そう訊いたところで、私の今思っている返答しかもらえないのは想像がつく。

『婚約者代理なんだから同等に扱われて当然だ』と。


「任せてもらって構わないな?」


 私の同意を得ようと、香椎さんは真剣な眼差しで私を見つめる。


「はい……では」

「わかった。諸々進めていく」


 書き込み主を特定するのは、今後自分のサロンを守っていく上で必要なことだろうとは思う。

 だけど、こういう心無い嫌がらせを受けること自体に心が痛む。

 こんな風に攻撃をしてやろうと思うような嫌な思いを、私が誰かにさせてしまったのだろうか。

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