激情を抑えない俺様御曹司に、最愛を注がれ身ごもりました
5、偽装婚約者のはずなのに
「では両手、お願いします」
「はーい。お願いします」
手の平を出してもらい、アルコール消毒をさせてもらう。
シュッシュと噴霧された手の平を重ね合わせた潤子伯母さんは、「デザインどうしようかしら」とデスクの端に飾ったサンプルに目を向けた。
「どうしますか? こういう感じのがいいとかもしあれば」
「そうね……夏っぽいのも可愛いわよね。たまには普段とは違う感じにしてもらおうかしら」
いつも大人の女性らしい肌馴染みのいいネイルカラーをオーダーするのが定番の潤子伯母さん。
たまにその季節に合ったオーダーをされることがある。確か前回はバレンタインのときで、ハートをモチーフにレッド系のネイルを作った。
「このサンプルの、クリアのブルーのデザイン可愛いわね。これにしようかしら」
潤子伯母さんの目に留まったのは、少し前に私が作ったサンプルのひとつ。
クリアブルーのニュアンスネイルで、ゴールドのシェルモチーフを飾ったデザインだ。