激情を抑えない俺様御曹司に、最愛を注がれ身ごもりました
「本当に助かったわよ。でも、あちらも今回の話は見送ろうと思っていたなんて、こちらとしては奇遇だったわ」
苦笑いを浮かべる潤子伯母さんの様子を手元からちらりと視線を上げて目撃し、なぜだかどきりとする。
動揺を悟られぬよう、すぐにネイルオフの作業に集中した。
「たしかに、そうですね。お相手の方が乗り気のお見合いだったら、実乃梨がすぐにでも戻ってこなければいけなかったかもしれませんし」
「そうね。あの子はあれっきり帰国する気配もないわ。心配しないでって、連絡は入ってきたんだけど」
やれやれという様子で潤子伯母さんは小さなため息を落とす。
余計なことを口走らないよう、「そうですか」と微笑んで話を終わらせた。
香椎さんとの同居が始まって早三日が経過している。
でも、特に同居生活に問題は生じていない。
同じ住まいで暮らしていても、互いに仕事で家を空けている時間のほうが多く、この三日間で顔を合わせたのは数回程度。
朝、出勤前にリビングで会って挨拶をしたのと、夜眠ろうとした頃に香椎さんが遅い帰宅をして会ったくらいだ。
昨夜は一度帰宅してもすぐに出かけて行ったし、仕事が忙しいのだろうと思われる。