激情を抑えない俺様御曹司に、最愛を注がれ身ごもりました


 迎えをお願いしたのは、前の道を少し駅に向かっていって出たすぐの大通り。

 十七時に迎えにくると言われていたから、数分遅れるかもしれない旨事前に伝えてある。

 それでも足速になって目的の場所を目指すと、すでに香椎さんの車がハザードランプを点灯させ停車していた。

 フロントガラスの向こうの運転席には、端整な顔が見える。

 目を伏せているのは、スマートフォンか何かを見ているようだ。

 車へと近づいてきた私に気づき、香椎さんはすぐに運転席を降車してきた。


「すみません、お待たせして」

「今来たばかりだ。ちょうどよかった」


 助手席側へとまわり、ドアを開ける。

 一緒に住み始めて三日だけれど、この高級車に乗せてもらうのはこれで二度目。

 ドアを開けてもらいシートに座って、「閉めるぞ」と声をかけてきた彼と目が合った途端に鼓動が跳ね上がった。


「あ、はい!」


 動揺を誤魔化すと返事がやたら大きな声になる。

 視線が重なり合った瞬間、この間の出来事がフラッシュバックしてきた。

 車に乗ってシートベルトを締めてくれた香椎さんの顔が迫って、不意打ちで口づけられたあの記憶。

 意識しないようにしていたのに、あのときと同じ場面に遭遇したら思い出していた。

 でも、そんな私とは対照的に、香椎さんは全く何も感じていない様子。

 運転席に乗り込みシートベルトを締め「行くか」とハンドルを握った。

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