激情を抑えない俺様御曹司に、最愛を注がれ身ごもりました
変に意識したらダメだ。
動き出した車の中、自分に言い聞かせる。
香椎さんにとったら、あの二回のキスなんてもう忘れているような出来事なのかもしれない。
それを、いつまでも気にして動揺していたら自意識過剰というやつだ。
「あの、買い物とはどこに……?」
「六本木の商業施設にでも行ってみるか。食器とか、生活に必要なものがまだ揃っていないだろ」
「ああ、なるほど」
てっきりスーパーマーケットにでも行くのだとばかり思っていた。
確かに、まだ生活をしていくには足りないものが多くある。
個人的にも欲しいものがあるし、ちょうどよかったかもしれない。
恵比寿から十数分で、車は目的の商業施設に到着する。
平面の駐車場に入り車を停め、香椎さんに倣って自分で車を降車した。
「ありがとうございました」
運転してきてもらったことにお礼を言うと、車のロックをかけた香椎さんが私の元へ近づく。
なんの躊躇いもなく右手を取られ、当たり前のように繋がれた。