激情を抑えない俺様御曹司に、最愛を注がれ身ごもりました


「では、おやすみなさい」


 こちらを見ないまま、京香はぎゅっと目を瞑る。

 普段眠るときにそんな風に目は瞑らないだろうとツッコミたくなったが、敢えて言葉を呑み込み代わりに手を伸ばした。


「ふぁっ……!」


 俺の指先が前髪に触れると、想定外だったのか声を上げて目を開ける。

 ベッドに上がってからやっと視線が重なり合って、頭で考える前に体を起こし腕を伸ばしていた。


「っ……あの、透哉さん……?」


 覆い被さるようにして抱きしめ、そのまま静かに横たわる。

 横から抱き寄せられた京香は体を動かして嫌がることもなく、そのまま俺の腕の中に留まった。

 艶のあるふんわりした髪から香る甘いシャンプーの香りは、何度か近づいたときに記憶している。

 柔らかい体を抱きしめたまま「おやすみ」と囁く。


「おやすみ、なさい」


 腕の中から聞こえたか細い声に胸がいっぱいだった。

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