激情を抑えない俺様御曹司に、最愛を注がれ身ごもりました


 ふたり分のコーヒーを淹れたお揃いのマグカップを手に、バルコニーへと出ていく。

 透哉さんはバルコニーに設置しているテーブルセットの椅子にかけ、タブレット端末で新聞を読んでいた。

 テーブルに置かれたマグカップに顔を上げ、また「ありがとう」と言ってくれる。

 お約束のように絵柄が繋がるようにマグカップを並べ、「となり、いいですか?」と一応訊いて椅子に腰を下ろした。


「今日はアイスコーヒーのほうが良かったですね」


 まだ早朝とはいえ、すでに日中の気温の上昇を予感させる蒸し暑さがある。

 昨日も三十五度近くまで上がった猛暑日だったから、熱が停滞したままなのかもしれない。


「今日は、仕事はいつもの時間まで?」

「今日は、夜の予約は入れてなくて。ラストのお客様が十六時からなんです。なので、十八時前には終わるかなと」


 予定はないけれど、せめて誕生日くらい普段より早く仕事を終えてゆっくり過ごしてもいいだろうと予約をセーブした。

 こういう融通が利くのが、自分でお店を持つ利点でもある。

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