激情を抑えない俺様御曹司に、最愛を注がれ身ごもりました
「そうでした。お気持ちは嬉しいんですけど、この後予定が入りまして」
「えっ、そうなの? なんだよー、男か?」
「いや、そういう感じではなくですね」
「誕生日に予定ができたなんて、男に誘われたとしか思えないだろー」
丈さんの追及が加熱してきて、オロオロと困って変な汗が出てくる。
「もう、これ以上はノーコメントで勘弁してください! では、お疲れ様でした!」
八木沼さんにはもう一度「お花ありがとうございました」とお礼を言い、逃げるようにしてお店をあとにした。
大きな花束を両手に抱え、この間迎えに来てもらった同じ場所に向かう。
今日はまだ透哉さんの車は到着していないなと思っていたら、向こうから黒いボディのセダンが走ってくるのが目に映った。約束の場所で車は停車する。
すぐに降車してきた透哉さんは、私の姿を見て目を丸くした。
「お疲れ様。どうした、すごい花束だな」
私を迎えに来るなり背に手を添え、透哉さんは車までのわずかな道をエスコートしてくれる。
透哉さんは今日が私の誕生日だとは知らない。だから、こんな豪華な花束を抱えていたことに驚いたのだろう。