激情を抑えない俺様御曹司に、最愛を注がれ身ごもりました


「っ、お、おかえりなさい」


 突然声をかけられて思いっきり肩を揺らしていた。

 振り返るとリビングの入り口には帰宅後の透哉さんが立っていた。

 いつの間に帰ってきたのかもわからないほど、ぼんやりしていた自分にハッとする。

 同時に、さっきホテルで交わされていた会話が一気に蘇った。


「出張、お疲れ様でした。ご飯にしますか? あ、夕飯にはまだ早いですよね」


 普段通りの態度でいないといけないと思えば思うほど、不自然な様子を見せている気がする。

 スマートフォンを置きソファを立ち上がって、いそいそとキッチンに入ろうとする。

 そんな私の腕を、突然引き留めるように透哉さん掴んだ。


「どうした。何かあったか」


 鋭い透哉さんだ。私のほんの少しの様子に、普段とは違う変化を感じ取ったのかもしれない。

 何かあったかと訊かれて口ごもる。

 今日はいろいろありすぎている。

 透哉さんが潤子伯母さんと実乃梨と会っていたこと。縁談が再始動していることも知ってしまった。

 気を紛らわそうと見たスマートフォンからは、新たな誹謗中傷を見つけ、最近のお店経営に影響が出てきているのではないかと真剣に悩み始めた。

 どちらも今ここで口に出すことはできない。

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