激情を抑えない俺様御曹司に、最愛を注がれ身ごもりました
「なんでも、ないです」
じっと見つめてくる透哉さんの目から視線を逸らす。
こう言ったところで、すんなり納得してくれるかはわからない。
腕を掴んでいた透哉さんは、俯く私をそのまま腕の中に閉じ込めた。
「なんか、元気がない気がするんだけど」
追及されて、鼓動が大きく音を立てていく。
「気のせいですよ」
それでもやっぱり白状するわけにもいかず、「大丈夫です」とそっと腕の中から抜け出した。
「餃子、かなりいっぱい作ったんですよ」
キッチンに入りながら話題を切り替える。
「リクエスト、ちゃんと聞いてくれたんだ」
「はい、もちろんです。何時くらいに食べますか?」
「昼食べてないんだ。だから、早めの夕食でも全く問題ない」
「そうですか。では、揚げ餃子もあるので仕上げ始めますね」
なんとか会話は不自然にならずキャッチボールができた。
ホッとひと安心して餃子の仕上げに取りかかる。
先に揚げ餃子を揚げ、それから焼き餃子を焼き、そろそろ出来上がるころに透哉さんがリビングに出てきた。