激情を抑えない俺様御曹司に、最愛を注がれ身ごもりました


「なんでも、ないです」


 じっと見つめてくる透哉さんの目から視線を逸らす。

 こう言ったところで、すんなり納得してくれるかはわからない。

 腕を掴んでいた透哉さんは、俯く私をそのまま腕の中に閉じ込めた。


「なんか、元気がない気がするんだけど」

 追及されて、鼓動が大きく音を立てていく。

「気のせいですよ」

 それでもやっぱり白状するわけにもいかず、「大丈夫です」とそっと腕の中から抜け出した。


「餃子、かなりいっぱい作ったんですよ」

 キッチンに入りながら話題を切り替える。

「リクエスト、ちゃんと聞いてくれたんだ」

「はい、もちろんです。何時くらいに食べますか?」

「昼食べてないんだ。だから、早めの夕食でも全く問題ない」

「そうですか。では、揚げ餃子もあるので仕上げ始めますね」


 なんとか会話は不自然にならずキャッチボールができた。

 ホッとひと安心して餃子の仕上げに取りかかる。

 先に揚げ餃子を揚げ、それから焼き餃子を焼き、そろそろ出来上がるころに透哉さんがリビングに出てきた。

< 185 / 235 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop