激情を抑えない俺様御曹司に、最愛を注がれ身ごもりました


「もうそろそろできます」

「何か手伝う」

「ありがとうございます。では、テーブルセッティングをしてもらえたら」


 私から頼まれた透哉さんは「了解」と進んで食事の準備を整えてくれる。


「京香、来週また出張が入ったんだ。水、木と二日間になる」


 カトラリーをダイニングテーブルに置いた透哉さんが私を振り返る。


「そうなんですね。あ、私も来週の週末は関西のほうであるネイルのイベントに行く予定を立てていて、二日ほど泊りで出かけます」


 年に三回ほど、多くの美容関係企業が商品を出展する大規模なイベントが開催される。

 今回は大阪で行われる『ネイルワールド』というネイル専門のイベントで、私は買い付けと、有名アートディレクターのレクチャーを受けることを目的に訪れることを計画している。

 東京でのイベント開催なら日帰りで連日通うけれど、今回は関西ということで一泊二日で行動する。


「そうか。来週はお互い忙しそうだな」


 透哉さんの何気ないそんな言葉に、内心ホッとしてしまう自分がいる。

 今日のことを受けて、今はまだ動揺している自分が大きいけれど、少し気持ちが落ち着いてきたら今後のことを考えていかないといけないと気づく。

 パリッと美味しそうに焼けた餃子を目に、そんなことをひとり考えていた。

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