激情を抑えない俺様御曹司に、最愛を注がれ身ごもりました
「ちょうど、そろそろ一緒に住んでいるマンションも出ないといけないと思ってて。物件はいろいろ見てるんだけど」
「そこまでもう決めて進んでいるんだ。すごいな……私がきょんちゃんの立場だったら、そんな落ち着いて行動取れてないよ」
「落ち着いてなんかないよ。見えないかもしれないけど、これでも結構いっぱいいっぱい」
昔から、何かあってもどっしり構えていて顔に現れないなんて言われるけれど、今はそんなことない。
すぐにぼんやりしてしまうし、頭の中は常に悩んでいて苦しい。
吹けばすぐに飛ばされるくらい弱り切っている。
「きょんちゃんは、これからどうしようと思っているの?」
自問自答はかなりの数してきたけれど、菜々恵にこうして改めて質問され、自分の気持ちを丁寧に整理していく。
「あのときの、菜々恵と同じかな。お腹の子は、ひとりで産み育てる。一旦、田舎に帰って、もしも両親に勘当されたら自分ひとりでなんとか生きていくしかない」
そう言ってみたものの、実乃梨の結婚相手の子を身ごもっているなんて両親に言えるはずかない。
そう考えると、田舎に帰るという選択肢はないのかもしれないと気がついた。