激情を抑えない俺様御曹司に、最愛を注がれ身ごもりました
「でも、お腹の子の父親が従姉妹と結婚するんだもん。親も親族も、すべてから縁を断たれるのは覚悟しないといけないよね」
「きょんちゃん……」
「誰も知らないところで、ひとりで出産して、生きていくしか道はないかも」
私より菜々恵のほうが今にも不安で泣きだしそうな顔をしている。
昔から人の気持ちに寄り添ってくれる優しい菜々恵らしい。
「まだ実感はないけど、いざ自分が妊娠してみると、やっぱりどんな状況でも堕ろすなんて選択肢ないんだなって知ったよ」
「うん。わかるよ、すごく」
「ちょっと、そんな暗い顔しないでよ。大丈夫。なんとだってなるから」
笑い飛ばすように言ってみても、菜々恵は「ごめん」と言うだけで表情は心配そうに歪んだまま。
並んで掛けるソファで、横から手を取られた。
「今度は、私がきょんちゃんの力になる番だから。いつでも、なんでも相談して。どこにだって駆けつける」
「菜々恵……」
真剣な眼差しを受けて、今になって涙腺がじわりと緩む。
目に涙を浮かべた私を目撃した菜々恵は、黙って横から私を抱きしめた。