激情を抑えない俺様御曹司に、最愛を注がれ身ごもりました



 日中は半袖でも過ごせるけれど、朝晩は羽織が必要になってきた。

 一年の中でもこのくらいの時期が過ごしやすくて一番好きだ。一年中こんな陽気ならいいのにと思う。


「いかがですか?」


 秋らしいべっ甲をメインにしたハンドネイル。べっ甲の指とボルドーをべた塗りした指には、ゴールドのスタッズでワンポイントを飾る。


「うん、イメージ通りです」

「ここのボルドーのところ、スタッズのそばにブリオン置きますか? こんな感じで」

「ああ、いいわね! お願いします」


 以前、潤子伯母さんの紹介でうちに通い始めてくださった理美さんは、潤子伯母さんの長年の友人。

 実乃梨が幼稚園のときに知り合ったママ友だという。


「最近、潤子ちゃんに会う? 来てる? お店」

「あ……最近は、しばらくご来店ないです」


 早ければ三週間、一カ月間隔で今まで来店してくれている潤子伯母さんが、ここ二か月ほど予約の連絡を入れてこない。

 透哉さんと実乃梨と三人で会っているのを目撃してしまってから、なんとなく後ろめたい感じがしてこちらから連絡できないでいる。

 透哉さんの子を身ごもっているのだ。

 潤子伯母さんにとって私は縁を切るに値する存在になってしまったのだから。

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