激情を抑えない俺様御曹司に、最愛を注がれ身ごもりました

　いよいよ来てしまったと思いながら、相談内容を頭の中で整理する。

　誹謗中傷の相談といっても、きっと内容は様々。

　でも、私のように数度の書き込みでも対応してもらえるものなのだろうか。

　もっと、精神を病むような嫌がらせを昼夜関係なく受けているとか、そういう深刻な人が相談にくるんじゃ……。

　そんなことをあれこれ考えている中、入り口の扉が二回コンコンとノックされる。

　外から「失礼します」と男性の声がし、扉が開かれた。

　椅子にかけたまま振り返った先、ダークグレーのスリーピースに身を包んだ男性が部屋に現れた。

　すらりと高い背を見上げていき、胸元にきらりと光る金色のバッチ。その先に見えた整った顔面に目を奪われる。

　涼し気な目元に細く高い鼻梁、薄い唇から「お待たせしました」と心地の良い低い声が聞こえた。

　俳優顔負けの美丈夫に意図せず釘付けになる。

　顔が小さい上に上背も恐らく優に百八十センチはあるだろうから、あまりお目にかかれない八頭身というスタイルだ。


「よろしくお願いします」


　思わずソファから立ち上がり、頭を下げる。


「ああ、掛けてください」


　私の向かい側、部屋の奥側の一人掛けソファの前まで来た男性が、スーツのジャケットの内側から名刺ケースを取り出す。

　そこから慣れた手つきで一枚を抜き出し、私へ差し出した。