激情を抑えない俺様御曹司に、最愛を注がれ身ごもりました
「本日担当します、香椎と申します」
「あ、はい。よろしくお願いします」
緊張のあまり、また〝よろしくお願いします〟と言ってしまう。
受け取った名刺には、香椎綜合法律事務所と書いてある下に、〝弁護士〟と香椎透哉と名前が記されていた。
事務所の名前と苗字が同じということは、関係者とかそういうことなのかもしれない。
まだ立ち上がったままの私に、弁護士さんは「どうぞ」と着席をすすめる。自分も私の向かい側に腰を下ろした。
「ご紹介だと伺いましたが、本日はどのようなご相談で」
早速きた質問に、うだうだ考えていたことを思い出す。大袈裟ではないかなんて思っていたけれど、弁護士さんを前にしたら、もうそんなこと言っていられない。
「はい。私、ネイルサロンを持っているのですが、ネット上で謂れのない書き込みを何度かされて。気にしないようにしようと思ったのですが、周囲からサロンの運営に影響するかもしれないから相談したほうがいいと勧められまして……」
「誹謗中傷を受けているということですね」
個室に入ってきた際、小脇に抱えていたタブレット端末を手にし、弁護士さんは長い指先で操作を始める。