激情を抑えない俺様御曹司に、最愛を注がれ身ごもりました
「やはり知り合いか」
「はい……お客様です」
「客? もしかして、以前、爪を磨いているとか言っていた……?」
前に透哉さんにもちらっと話したことがあった。
誕生日に花束をもらったときのことだ。
そう考えると、表向きは客として何食わぬ顔で私と接し、誕生日を祝ったり、困っていたときは物件を探したりもしてくれていた。
でも、裏では私のサロンを追い込むような書き込みをしていたのだ。
私が悩んでいたことだって間近に見て知っていたはずなのに、陰では嘲笑っていたのかと思うと身も毛もよだつ。
「そうか。だとすれば、恐らく京香に対する好意の裏返し、といった動機だろう。裏では追い詰めて、表向きには親切にして近づく。どうしようもないやり口だ」
「書き込みについて悩んでいたことも知っていました。ひどい……」
ぞっとしたのもつかの間、その感情よりも許せない気持ちが増大していく。