激情を抑えない俺様御曹司に、最愛を注がれ身ごもりました


「プロバイダから、損害賠償請求を前提とした契約者の情報開示請求が来たと連絡を受けて、相手も驚いたのだろう。向こうの弁護士から、示談交渉したいと連絡が入った」

「示談?」

「ああ。応じるのであれば、慰謝料の請求を連絡したい。今回の場合、示談金の相場は五十万から百万程度だと思われる。実際に、サロンの予約が減るなどしたことを踏まえて、本来なら売り上げとなった金額を加味して慰謝料請求したらいい」

「そうですか。金額を決めるのはなんか難しいので、透哉さんにお任せしてもいいですか?」

「わかった。じゃあ、俺のほうで先方の弁護士と話をつけておく。話が進み次第、都度報告するから」


 話が一区切りし安堵したものの、これからあの場所でサロンを続けていくことに急に悩み始める。

 示談交渉で話が解決したとしても、八木沼さんが常連のあの店でサロンを続けていけるのか。

 それを考えてみると、やっぱり難しい。

 じきにお腹の子を出産すれば、しばらくは仕事を休業することにはなる。

 でも、いずれまた自分のサロンでネイリストを続けたいと思っている。

 また新しい場所を探すしかないかな……。

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