激情を抑えない俺様御曹司に、最愛を注がれ身ごもりました


「私のために、まさかここを……?」

「もちろん。開示請求を進めながら、京香の妊娠も知って、京香も俺も安心して今日アがサロンを続けられる環境を整えようと思っていたんだ。ここなら、俺の事務所からすぐ駆けつけられる。出産が間近になってくれば、いつ病院にいくことになるかもわからないだろう?」


 透哉さんがそんなことを考えて、そして動いてくれているなんて知りもしなかった。

 一緒に暮らしていても全くそんな素振りも話題もなかったから、まさにサプライズといった状況。驚いてしまって言葉が選びきれない。


「実は、今のサロンのことで悩んでいて……これからどうしようかと思っていたんです。だから、今すごく驚いてて」

「そうか。それなら良かった。早速移転して、ここで始めるといい」

「はい。透哉さん、ありがとうございます」


 そんなお礼の言葉だけでは全く足りない。

 今まで以上に頑張ることが、環境を整えてくれた透哉さんへの一番の感謝の気持ちを伝える手段になる。

 上京する前に憧れた、自分だけのプライベートサロン。

 部屋の中を見回して、どこにどんな配置でデスクとチェアを置こうかと考える。

 この場所なら、子連れのお客様も積極的にお迎えできるかもしれない。

 部屋の一角に、子どもが遊んで待っていられるスペースを作ったら、サロンの売りにもきっとなる。

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