激情を抑えない俺様御曹司に、最愛を注がれ身ごもりました
9、新たな幸せの始まり


 窓の外は霧のような雨が降っている。降るというよりも舞うような雨は、湿った梅雨らしい天気だ。


「久しぶりに京香にやってもらって思ったけど、やっぱり京香のジェルネイルが一番ね」

「本当ですか? 一番嬉しい褒め言葉ですね」

「本当よ! もちもいいし、艶も次替えるまでほとんど変わらないし。なんといってもセンスがいいもの」


 今日は、数か月ぶりに潤子伯母さんが来ている。

 潤子伯母さんが多忙だったことと、以前よりも予約の調整をしている私のほうの都合がつかず、潤子おばさんが来店するのはかれこれ一年近くぶりだった。

 そんなに月日が流れていたことにお互いに驚いたくらいだ。


「ありがとう。じゃあ、交代ね」


 潤子伯母さんの施術が終わり、横に座って待っていた実乃梨と席を入れ替わる。

 今日は親子そろって予約を入れてくれていた。

 実乃梨のネイルをするのはなんだかんだで今回が初めてだ。

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