激情を抑えない俺様御曹司に、最愛を注がれ身ごもりました


「その後の損害賠償請求手続きが二十万円からで、告訴状作成が着手金四十五万──」

「あ、あの」


 料金形態の説明をしてもらっている最中(さなか)、無意識に声をかけていた。

 弁護士さんが不思議そうに話を止める。


「あの……依頼は、もう少し、考えてみてもいいでしょうか」


 詳しく説明してもらった手前、相談だけで帰るのはなんとなく気まずい。

 しかし、今の説明を聞けば費用はざっと百万円近くになる。

 もしかしたら、その他もろもろがかかってきて、百万円なんてあっという間に超えていくかもしれない。

 私にとって百万円なんて金額、大金すぎて簡単に出せるものではない。

 いくらお店のためとはいえ、さすがに現時点でそれは……。


「それは全く構いません。依頼するかしないか、それを決めるのは松原さん自身です」


 躊躇する私を、弁護士さんは無理に引き止めるようなこともしない。

 執拗な商品の営業や勧誘のように契約を取ろうなどという雰囲気は一切なく、内心ホッと安堵する。

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