激情を抑えない俺様御曹司に、最愛を注がれ身ごもりました


 とんでもない方向に話が行き、あまりの驚きでつい声のボリュームが上がる。

 変化球なんてもんじゃない。


「え、ちょっと待って潤子伯母さん。代わりって、一体どういう」

「実乃梨の代わりとしてよ。要するに、実乃梨の身代わりということ」


 身代わり? 身代わりって……。


「それって、実乃梨だっていうことでお見合いの席に行くって、そういうことですか?」


 やっと潤子伯母さんの要求が呑み込めてきて、確認を取るように訊き返す。

 とんでもないことを頼まれているとわかり、動悸を感じ始める。

 潤子伯母さんははっきりとした声で「ええ、そうよ」と答えた。


「いや……さすがに、実乃梨だって偽るのは無理があるんじゃないかな。似てるっていっても、双子レベルじゃないと」


 幼少期から、姉妹のように顔が似ていると言われていた実乃梨と私。

 大人になった今も、潤子伯母さんから見れば私たちはよく似ているらしく、よくそんな話題も出てくる。

 だけど、ここ数年の実乃梨は私なんかよりもお上品な雰囲気だと、潤子伯母さんの見せてくれる画像で確認済み。

 顔が似ていたって、私とは別人だと誰が見たって感じるはずだ。

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