激情を抑えない俺様御曹司に、最愛を注がれ身ごもりました
「お相手に写真は出しているけど、お見合いの場に持ち込んで見比べるなんてことされないわ。だから、顔が似ている京香ならきっと大丈夫なはずよ」
「それは、そうかもしれないけど……でも、もし気づかれたらどうすれば?」
「大丈夫よ。そのお見合いの二時間くらいなんとかなるわ。私も同席して、京香が困らないようにお相手と話を繋ぐから。京香は微笑んで頷いているだけでいいのよ」
潤子伯母さんは再度「お願いできないかしら」と真剣な眼差しを私に向ける。
「今回のお見合いは、私の仕事の関係も絡んでいて、こちらからお願いした話だったの。だから、実乃梨がどうしてもまだ結婚したくないって言うのなら、無理に縁談を進めることはしないと思うわ。だけど、こちらからお願いしたお見合いをこんな寸前になってお断りすることはできなくて」
潤子伯母さんの抱える事情を聞けば、確かに事態は深刻。仕事関係の付き合いの上に成り立った縁談なら、ドタキャンのような形で断るのは間違いなく無礼だ。
お見合い前日にして実乃梨が逃げ出してしまい、潤子伯母さんは最終手段と閃いて私に連絡をしてきたのだろう。
代理で、しかも実乃梨だと偽ってお見合いの席に行くことは不安しかないけれど、困っている潤子伯母さんを助けてあげたいという気持ちは強くある。
「本当に、私が行って大丈夫でしょうか……?」
了承に傾いた私の返事に、弱って曇っていた潤子伯母さんの顔がぱっと明るくなる。
「やってくれるのね!?」
勢いよく最終確認され、思わず〝うん〟と頷いていた。