激情を抑えない俺様御曹司に、最愛を注がれ身ごもりました
挨拶が済み座席に腰を落ちつけると、すぐにスーツのスタッフが黒い革張りのメニューを手にやって来る。
手渡されたメニューには英語と日本語で多数のドリンクメニューが記されていた。
中でも紅茶はフレーバーティーを含めかなりの種類が用意されていて、ホットでもアイスでも淹れてもらえるらしい。
「決まりましたか? オーダーしましょう」
香椎さんがリードして潤子伯母さんと私のドリンクオーダーを聞く。
メニューを見て感心はしたものの、動揺と緊張でどれにするか決められず、潤子伯母さんが選んだフルーツティーのホットに便乗して「同じもので」と答えていた。
正面から香椎さんの視線を感じていたけれど、メニューに目を落としてなるべく目を合わさないように努める。
出だしからこんな調子で最後までもつのだろうかと不安しかない。
いつまでも目を合わさないでいるわけにもいかないし、かといって不審な様子で実乃梨ではないと気付かれるわけにはいかない。
私はあくまで実乃梨の身代わり。
実乃梨が気に入ってもらえるように振る舞わなくてはならない。