激情を抑えない俺様御曹司に、最愛を注がれ身ごもりました


「あら、ごめんなさい」


 となりに座る潤子伯母さんが突然バッグを漁り始める。

 微かにスマートフォンの着信音が鳴っているのが聞こえていた。


「ごめんなさい。ちょっと仕事の電話だわ。少し失礼しますね」


 取り出したスマートフォンの画面を目にした潤子伯母さんは、私たちに断りソファー席を立ち上がる。

 慌てて電話に応じながらその場を離れていった。

 大丈夫だろうかとその姿を見届けながら、いきなり香椎さんとふたりになってしまったことに気づく。

 なんとなく視線を感じて正面に顔を戻すと、気のせいではなく香椎さんが私をじっと見つめていて、大きく心臓が音を立てた。


「先日はどうも」

「え、あっ、はい。ありがとうございました」


 自分の話し声を聞いて、ハッと我に返る。同時に背筋を冷たいものが這い上がり、香椎さんの顔を凝視したまま瞬きを忘れた。

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