激情を抑えない俺様御曹司に、最愛を注がれ身ごもりました
それから二時間ほどの時間、自分がどんな顔をしてそこにいたのかはよくわからない。
話の内容についても記憶が曖昧になるほど、心中穏やかではなかった。
予定通り潤子伯母さんが率先して話を繋いでくれたのは幸いだったけれど、浮かべていた私の笑顔は終始引きつっていたに違いない。
「今日はありがとうございました」
やっと約束の二時間が近づき、お見合いの席は締めに入っていく。
時間を見計った潤子伯母さんがお開きの声をかけてくれ、やっと終わりが近づいてきたことにホッと安堵する。
しかし、紅茶が運ばれてくるよりも先に香椎さんに私の正体がバレてしまったと思われる展開があったにも関わらず、香椎さんはお見合いの席でそのことに一切触れてこなかった。
いつ追及されるのかとヒヤヒヤしていたものの、もしかしたら私が思っているような最悪の事態は免れたのかもしれない。と、勝手に思っていた。
相手もいい大人だ。何か事情があってと、もしかしたら目を瞑ってくれたのでは……?
「こちらこそ、ありがとうございました。あの、このあと実乃梨さんと少しふたりきりでお話できたらと思うのですが」