激情を抑えない俺様御曹司に、最愛を注がれ身ごもりました
香椎さんからの突然の申し出にどくんと鼓動が驚いた音を上げる。
美しい顔ににこやかな表情を浮かべ、香椎さんは潤子伯母さんの返答を待つ。
「ええ、ぜひ。ふたりで少し話してもらえたらと思います」
潤子伯母さんの淀みのない回答に、心の中で「伯母さーん!」と叫んでいた。
「では、私はここで失礼させてもらいますね」
私の肩を触るようにとんとんと叩き、「行くわね」と言う。
目を合わせた潤子伯母さんの視線には〝あとは頼んだわよ〟というメッセージが含まれていた。
もう一度挨拶をして席を離れていく潤子伯母さんを、困惑したまま見届ける。
姿が見えなくなって、いよいよ正面に姿勢を戻すと、香椎さんはそれまでには見せていなかった意味深な微笑を浮かべていた。
「何か事情があってのことだとは思う」
彼から出てきた言葉に、自然と姿勢がピンと整う。
だってそれは、もう全てをわかっていると言っているようなもの。
さっきわずかに浮かんでいた、目を瞑ってくれたかもしれないなんて期待は呆気なく壊されなくなる。
「でも、どうやら見合いの相手は君ではないね?」
「えっ……あの、それは」
「俺も、遠慮する予定の見合いの席だったから、写真はちらっとしか見てこなかったんだ。たしかに、〝実乃梨さん〟によく似ている」