激情を抑えない俺様御曹司に、最愛を注がれ身ごもりました
やっぱり、バレてる……。
お見合い話自体を直前に断れないのは、潤子伯母さんの仕事関係の絡みがあると聞いている。
しかも、こちらからお願いしたという事情もあったからだ。
それだけでこの身代わりお見合い話に失敗は許されないのがわかるのに、こんな風にバレてしまって一体どうすれば……。
「でも、苗字から姉妹というわけではないようだな。従姉妹か、親戚関係……」
「違います! 私は、大神田実乃梨です!」
ここまで見破られてしまっているというのに、私の咄嗟の発言はひどいものだった。
もう頭の中が完全にパニックに陥り、なんとか嘘をつき通そうとしている。
そんな私を、香椎さんはフンと鼻で笑った。
「わかった。そこまで言うならそういうことにしておこう」
「……?」
「その代わり、〝代理〟として俺の要求を呑んでもらおうと思う」
ゴクリと、自分の喉が鳴るのが耳に入る。
依然として表情を崩さない香椎さんの目をじっと見つめたまま、その続きを黙って待った。