激情を抑えない俺様御曹司に、最愛を注がれ身ごもりました


「仕事絡みで言い寄ってくる女性対策で、ちょうど婚約者が欲しかったんだ。〝代理〟の仕事をまっとうして、しばらく俺の婚約者になれ」

「……。えっ、こ、婚約者!?」


 予想外で、しかもとんでもない方向に話が進み、反応した声が大きく出て自分でも驚いた。場違いな声量に、慌てて口を手で押さえる。

 いや、代理の仕事をまっとうして婚約者になれって、一体どういうこと?


「あの、意味がよくわからないのですが」

「意味? そのままだけど。何も難しいことは言っていない。俺の婚約者のふりをしろと、そういうことだ」

「いや、なんでそんな話になるんですか? なんで、私があなたの婚約者のふりなんて」

「今日は〝代理〟で来たんだろ? だったら、素直に話を受けないと大神田さんにも迷惑がかかることになるかもしれないぞ?」

「なっ……」


 私が身代わりだったとバレたとなれば、潤子伯母さんに迷惑がかかってしまう。潤子伯母さんの仕事に何か支障が出ることになったら……。

 香椎さんは、そんな事情も汲み取った上でこうして脅すようなことを言っているのだ。

 でも、全面的に悪いのはこちら側。香椎さんには全く非はない。

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