激情を抑えない俺様御曹司に、最愛を注がれ身ごもりました
その日の晩。
シャワーを浴び、髪をタオルドライしながら冷蔵庫を開ける。
中に一本だけさくらんぼ味の缶チューハイが入っているのを思い出し、迷わずそれを手に取った。
家でひとりで飲むことはあまりない。
これは食材の買い出しでスーパーに行った際、期間限定で並べてあるのが目に留まり、なんとなく一本買ってみたものだった。
プルタブを上げると、プシュッといい音が聞こえる。
「いただきます」
缶のまま口をつけた期間限定のさくらんぼチューハイは、甘酸っぱい優しい味わいで、ジュースのように飲みやすい。
調子に乗って飲みすぎてしまいそうな風味だ。
ふと視線を上げて目に入ってきた、今日着ていたワンピーススーツ。
クリーニングに出して潤子伯母さんに返さなくてはと思いながら、今日の出来事を振り返る。
香椎さんの綺麗な顔が意地悪く微笑むのが蘇り、打ち消すように缶を呷った。