激情を抑えない俺様御曹司に、最愛を注がれ身ごもりました
寿司屋から歩いて一、二分の立体駐車場に香椎さんは私を連れたまま入っていく。
どうやら香椎さんが契約している駐車場らしく、連れていかれた先にあった黒塗りの高級車に思わず香椎さんをちらりと見上げた。
光るように磨かれた黒いボディ。車の顔にあるマークは、国内の高級ブランド車のものだ。
走っているのは目にするけれど、もちろん乗ったことは一度もない。
助手席のドアを開け、香椎さんの手がやっと腰回りから離れる。
「乗って」
こんないい車に乗るのはさすがに緊張して、「お邪魔します」と躊躇いながら足を上げる。
あまりに私が挙動不審だったからだろう。
香椎さんは長身を屈め、私の座ったシートの背もたれに片手をついてシートベルトを引き出す。
「すみません、ありが──」
接近し、香水のいい香りが鼻を掠めたとき、近距離で視線が絡み合う。
香椎さんの眉目秀麗さに改めて目を見張った、そのときだった。