激情を抑えない俺様御曹司に、最愛を注がれ身ごもりました


「そういう態度を取られると、なんとしてでも自分に振り向かせたくなる」


 腕を掴んで引き寄せられ、それとは反対の手が腰に回る。


「ちょっ、あのっ──」


 彼のスーツの胸元に手をついたのも虚しく、一気に迫った唇に息を止められていた。


「何するんですか!」


 抗議の声を上げても、唇には触れ合った感触がしっかりと残る。奪われる前に阻止できなかった自分の鈍さを呪う。

 香椎さんは私の腰から手を放し、引き寄せていた体を解放した。


「今日はお互いを知るために会ってたんだ。これで少しは知ることができただろ?」

「なっ、なんですか、その言い草!」

「よく知りもしない人、ではなくなっただろう。キスまでした仲だ」


 確かに、よく知りもしない人と同居はできないと言ったのは私。

 その言葉から今日の約束に繋がったわけだけど、でも、こんなのって……!


「まだ足りないと言うなら、この先に進んでやってもいいが」


 更にとんでもないことをさらりと言われぎょっとしたものの、これ以上面白がられないように毅然とした態度を見せる。

 驚きが顔に出ないように必死に努めた。

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