岩のような愛を……
出稼ぎに行っている家の娘の名はお菊(きく)と言い、愛嬌があるため多くの男性が彼女と結婚したがっていると耳にしたことがある。優しく、笑顔が可愛らしい彼女に颯も見惚れてしまうことが何度もあった。
「こんな俺でいいのかな……。お菊さんにはもっといい人がたくさんいると思うけど……」
彼女を幸せにできるのか不安になり、颯は俯いてしまう。だが、父親が強くその肩を叩いた。
「その娘さんの親がお前を指名したんだ。これは、それほどの信頼があるという証。前を向け」
「……はい」
これから、結婚に向けて忙しくなっていくだろう。友達にも報告をしなくてはならない。
(イワナガ姫にも伝えないとな)
颯は立ち上がり、一番最初に教えようと山へ向かって歩いていく。何となく、彼女に一番に知ってほしかったのだ。
(びっくりするかな、喜んでくれるのかな、反応が楽しみだな……)
嫌でも口元が緩んでしまう。山道を歩き、いつものあの岩の場所に来ると、彼女は大事そうにかんざしを眺めながら岩の上に座っていた。
「こんな俺でいいのかな……。お菊さんにはもっといい人がたくさんいると思うけど……」
彼女を幸せにできるのか不安になり、颯は俯いてしまう。だが、父親が強くその肩を叩いた。
「その娘さんの親がお前を指名したんだ。これは、それほどの信頼があるという証。前を向け」
「……はい」
これから、結婚に向けて忙しくなっていくだろう。友達にも報告をしなくてはならない。
(イワナガ姫にも伝えないとな)
颯は立ち上がり、一番最初に教えようと山へ向かって歩いていく。何となく、彼女に一番に知ってほしかったのだ。
(びっくりするかな、喜んでくれるのかな、反応が楽しみだな……)
嫌でも口元が緩んでしまう。山道を歩き、いつものあの岩の場所に来ると、彼女は大事そうにかんざしを眺めながら岩の上に座っていた。