岩のような愛を……
「神様?」

神様がこの目に見えて、触れることができるなど信じることができない話だ。だが、苦しげなイワナガ姫の声に否定することはできず、颯はイワナガ姫を抱き締め返す。彼女が独りで寂しい思いをしている、ということだけは颯もわかったからだ。

「イワナガ姫、それなら俺がここに来てあげる。友達になろう?そしたらもう、イワナガ姫は独りじゃないよ」

イワナガ姫の瞳から涙が零れ落ちる。静かに泣き続けるイワナガ姫の背中を優しくさすりながら、颯は「絶対に楽しませて、孤独を感じさせないようにする!」と心の中で誓う。

こうして、颯は神様の友達ができたのである。



イワナガ姫と友達になってから、颯は時間を見つけては彼女に会うために山の中へと入った。イワナガ姫とはあの岩の場所でしか会うことができない。彼女が山から出るのを嫌がったためだ。

「イワナガ姫!」

颯が、岩の上に座り込んでいるイワナガ姫を大声で呼びながら手を振ると、彼女は頰を赤く染めながら少し恥ずかしそうに手を振り返す。
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