岩のような愛を……
颯が岩の前まで来ると、イワナガ姫はゆっくりと岩から降りる。そして、二人は並んで地面に座り、話をするのだ。

「今日はおやつ持ってきたんだ!」

颯は持っていた風呂敷を開ける。そこには、おいしそうな饅頭がぎっしりと詰められていた。イワナガ姫が「おいしそう……」と驚きながら呟き、颯はニコリと笑う。

「ばあちゃんの得意料理なんだ!食べよう!」

「ありがとう」

饅頭を一口食べると、口の中にふわりと栗の甘さが広がる。饅頭に使われているのは、颯と兄弟で拾ってきた栗だ。

「この栗、俺や兄弟が取ってきたんだ」

「そうなの。楽しかった?」

「うん、すごく!たくさん取れたよ。その後はご飯に栗を入れてもらって、今食べている饅頭にも入れてもらった」

「栗ご飯もおいしそうね」

イワナガ姫が優しく微笑み、また饅頭を食べる。それを見た颯ももう一口食べ、目を閉じた。

どこからか吹いた風が、頬を撫でていく。涼しくもどこか温かい秋の匂いに包まれ、颯はゆっくりと息を吐いた。
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