岩のような愛を……
フニャリと笑った颯に対し、イワナガ姫は優しく微笑んだ後、「ねぇ、颯」と紅が引かれていない唇を動かす。

「私と、ずっと一緒にいてくれる?」

それは、「ずっと友達でいてくれるのか」ということなのかなと颯は考えた。そして、すぐに答える。

「もちろん!」

そう答えた後、眠りについた颯をイワナガ姫は愛おしげに見つめる。そして、真っ赤に染まった顔を少しずつ近付け、互いの唇が一瞬だけ触れた。



颯がイワナガ姫と出会ってから数年が経った。颯は十八歳になり、この村で両親と畑を耕しながら、たまに街に出稼ぎに行くようになった。だが、友達とは時々会って幼かった頃のようにはしゃいでいる。そしてーーー。

「イワナガ姫、こんにちは」

「こんにちは、颯」

山の中に住んでいるイワナガ姫にも、子どもの頃より少なくなってしまったものの、会いに行っている。そして、その場所はあの頃と変わらずどこか温かい。

初めて彼女に会った時、颯はイワナガ姫よりも背が低かった。だが今は、彼女の背をとっくの昔に追い越して、颯がイワナガ姫を見下ろすようになった。体つきもあの頃とは違う。
< 8 / 14 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop