赤い衝撃

金属音で眼を覚ますと

さっきの看護師が枕元に居た。

「麻酔が切れてたら

 帰っても大丈夫だけど?」

「はい。大丈夫です」

と言ったけど、立ち眩みがして

気分も悪くなりもどしてしまった。

点滴室に移され一時間ほど横になった。

すいません、と声を掛けると

看護師が来てくれた。

さっきの看護師は居なかった。

「帰ります。

 タクシー呼んで貰えますか?」

「え?お迎えが来てますよ」

迎え?母親が心配して来てくれたんだ。

着いて行く、一人で心細いでしょ?

って言ってくれたけど

これは私が決めた事だから、と断った。

母にまで辛い思いはさせたくなかったのに。

看護師に支えられ待合室に出ると

診療時間が過ぎていて誰もいなかった。

母親の姿も見えない。

会計を済ませ、通路を曲がると

龍二がポツンと座っていた。

どうして?なんで此処にいるの?

心の中で呟きながら近付いていった。



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