赤い衝撃
落ち着いてテーブルに眼をやると
封筒が置いてあった。
龍二からだった。
忘れない。
麻耶も子供も。
いつか一緒に墓参りに行きたい。
手紙を読み終え、カーテンを開けると
龍二の車が止まっているのが見えた。
あれからどのくらい時間が経ったのだろう。
手紙の返事が聞きたいから
待ってるのかもしれない。
だけど、麻耶は行かなかった。
一人で産もうと思った時
父親は死んだんだ、と心に刻んだ。
知らせるつもりもなかったから
今日も一人で行った。
彼は父親じゃない。
赤ちゃんのお墓参りは
私が死ぬまで一人で行くよ。
だから、帰って。
龍二は、もう居ないんだ。