赤い衝撃

三人が近付いて軽く頭を下げた。

「マサル君?」

梨恵が素っ頓狂な声を出した。

そして、麻耶が顔を上げて見上げると

マサルが眼の前に立っていた。

二人は顔を見合わせ凝視した。

「マサル君だよね?そうだよね?」

梨恵は興奮して、麻耶の身体を揺らした。

「ああ」

搾り出すように答えて

「麻耶だよな?」

と問い掛けてきた。

「久しぶりだね」

「何、知り合い?」

マサルの隣にいた人が言った。

「悪い。今日は辞めとく」

マサルは、席にも着かず帰ろうとした。

その手を幹事が握って

「訳ありって所だな。まさか、元彼女?」

「違うけど・・・」

「ならいいじゃん!楽しもうよぉ!」

「俺は、人数合わせで来ただけだから」

幹事の手を振り払い、マサルは歩き出した。

「人数合わないじゃん!」

誰かがふざけた口調で言ったので

麻耶は、私も帰ります、と言って席を立った。



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