赤い衝撃

「恥ずかしいだろ」

その声の方を見上げると

マサルが頭を掻きながら笑っていた。

「マサル・・・ごめん」

「変わんねぇなぁ、麻耶は」

「ごめん」

「立てよ」

「ごめん」

麻耶は立ち上がっても、マサルを見れない。

「誤ってばっかだな?」

マサルが、大きな手を麻耶の頭に乗せた。

よく、こうして頭に手を置き

顔を覗き込んで笑ってくれてた。

兄として大好きだった。

麻耶は、あの頃の事を思い出して

涙が溢れていた。

「なんで泣くんだよ?」

「ごめん」

「それしか言えねえのか?」

「ごめん」

「ああ、面倒臭っ!メシは?」

「食べてない」

「だよな!行くぞ!」

マサルは、麻耶の手を引いて歩き出した。



< 110 / 119 >

この作品をシェア

pagetop