赤い衝撃
龍二が同じ苦しみを味わっている
事に驚き、反面嬉しくもあった。
それは、龍二が忘れてないって事だから。
赤ちゃんの事が蘇るのだろう。
麻耶もそうだった。
だから、彼をつくらなかった。
やはり二人で誓わないと許されないんだ。
「私もそうだよ」
マサルは、眼を見開き息を吸い込んだ。
言葉を探すように、テーブルの一点を見つめ
頷いた。
「俺からも頼む。兄貴に会ってやってくれ」
「うん」
「こんな事言うのも、あれなんだけど
兄貴、麻耶の事まだ好きなんだと思う」
今度は麻耶が眼を見開いた。
そして、思考が止まり眼が泳いだ。
「写真持ってる、海の写真」
ゴールデンウィークに三人で
魚釣りに行った時だ。
コテージで、車に荷物を運んでた時
写真撮って貰えますか?と言われて
マサルがシャッターを押した。
そして、そのまま龍二と麻耶にレンズを向け
シャッターを押した。