赤い衝撃
「そっちの箱に雪用の綿があるから!」
「はい」
その箱を開けてみると空っぽだった。
「何も入ってませんけど?」
「もー!役立たず!」
先輩は脚立から降りて箱の中を確認した。
「どうして無いのよ?!」
「どうしてでしょう?」
「会社に戻って取って来て!」
当たり前のような口ぶりで言い退けた。
「歩いてですか?」
「みんなも忙しいから誰にも頼めないし!
電車に乗るほどの距離でもないでしょ?」
「分かりました」
麻耶は車の免許を持ってない。
軽バンで行けば
10分足らずで往復出来る距離で
先輩が行った方が早いのに。
私の責任だと言わんばかりに指図した。
「怖いなぁ」
後ろで声が聞こえたので
同時に振り向き、先輩が声をかけた。
「何でしょうかっ?」
知らない人にでもヒステリックだったので
麻耶は笑ってしまった。