赤い衝撃

マサルの表情を見て、タイプじゃないな

と麻耶は気付いた。

「梨恵飲みすぎ。帰ろうか?」

「えぇ、まだ話した~い!」

麻耶は顔をしかめて

龍二とマサルに目配せをした。

「気にするな。

 電車は無理だからタクシー呼ぶか?」

麻耶は、龍二に返事をして

二人分の食器を片付けた。

洗い物をしていると、マサルが横に来て

言いにくそうに小声で呼んだ。

「麻耶?」

「うん?」

「悪いけど、兄貴も苦手なタイプだ。

 上手く断っといてくれ」

「うん、大丈夫。ごめんね無理言って」

二人とも苦笑いをした。

タクシーが来たので、ソファに凭れていた

梨恵を龍二が支えて階段を降りた。

「ごちそうさまでした。梨恵もお礼は?」

返事をしないので顔を覗き込むと

眼が閉じられていた。

「すいません」

「気を付けてな」

二人に見送られタクシーは発車した。



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